Vifaのフルレンジ(ケブラー10cm/MG10SD09-04/ 4Ω型 5,000円/本)をLST Audio のFE88ESの箱に入れ替えて測ってみました。


1.インピーダンス特性

まずはインピーダンス測定で健康診断です。密閉にしますと80〜90Hzあたりに山ができます。密閉での特性はVifa/Scan-SpeakのWebで(MG10SD09-04)として掲載されています。このデータは独自にイーディオで測ったもので箱はLST Audioのバスレフ箱です。
この箱では少しバスレフの負荷が上によっているようでもう少しポートを長くするか、内容積を増すなどしてポートの共振周波数を下げてやりたいところです。もともとFE88ES用でしたのでこれは仕方がないところかも。高域のインピーダンス上昇はL成分がかなりあることを示しています。

2.インパルス応答(時間軸特性)

これも10cmのフルレンジとして優秀です。立ちあがりも早くきれいな波形が再現されます。少し後ろの収まりがツィータと比べて悪い。ただウーファなどと比べると良いほうで仕方がないところです。

3.周波数・群遅延特性

これもまたびっくりするような特性です。仕様では100Hz〜15KHzですが、国産だったら軸上で55〜22KHzと表示されるくらいのものです。(-10dBの範囲)

4.Cumulative Spectral Decay(CSD)/WaterFallグラフ

これはケブラーですのでかなり共振が出ると覚悟しましたが意外にもありません。10KHz以上で弱い共振峰、あるいは2KHzくらいからいくつか共振峰らしきものが見えますが見事にダンプされているようです。ケブラーは1.2KHz〜2.5KHzくらいにいずれも材質の共振と思われるピークが散見されるのが普通ですが、Vifa MG10SD09-04は極小です。


5.総合評価

価格(今回から定価5,000円とします)の割には優秀でこのクラスのコンペチタであるE.J.Jordan JX62/FOSTEX FE88ESなどと比べて極めて共振の少ない音、音質としてはボーカルがかなりせり出してくるなどの特徴を持ちます。オーケストラについても試聴したがかなりの音量でもフルレンジではなかなか聴けない音量・音質で楽しませてくれました。ただどちらかと言えば夜静かにボーカルを楽しんでいただくのに好適です。


以上、計測・文責 (有)イーディオ 2000年8月15日